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サトシ社長はゲームに夢中、俺たちポケモンは消耗中

どちらかというと小さい方の中小企業に勤めている俺。
いわゆる自称ベンチャーで、実態は専業アウトソーシング
誰彼構わず人を採っては客先に送り込み、毎年増収!と宣っていた。

2008年のリーマンショックで大打撃を受けたものの、自宅待機や【検閲済】などで何とか一命を取り留めた。

そして「みなし残業制度」がやってきた。

社長は壇上で、意気揚々と説明した。

40時間分の残業をあらかじめ給与に含めます!
効率良く終わらせることで、相対的に給与がアップします!!
皆さん、ジャンジャン儲けてください!!!

元々残業嫌いの俺。
可能な限り定時内で終わらせる努力をしていたため、これは儲かっちゃうかも!?なんて無邪気に喜んだ。

しかし、世の中はそう甘くはなかった。

同時に見直された賃金、40時間分の残業を含んだ賃金は、今まで残業しなかった時の賃金と、ほぼ同額に設定されていた。

お、おのれ、謀ったな!

この仕打ちに怒りを覚え、一時は辞めることも考えた俺。
しかし、よくよく思い返せば、この会社を選んだのは俺。
この社長に履歴書を出して、入れてくださいと頭を下げたのも俺。
家族を養う身でもあり、軽挙は不利、時期を待とうと自分に言い聞かせて踏ん張った。

しかし、嬉々として業績を語る社長にだけは、我慢がならなかった。
業績はピンハネをやめてから口にしやがれ。

当然、給与に不満を持って離脱していく社員が続出しており、退職の理由は給料の不満、とハッキリ言ったという話も聞いた。

それだけ言われてもなお、ピンハネをやめないのはなぜか。
毎日楽しそうなのはなぜか。
ヘラヘラと仕事の邪魔をしにくるのはなぜか。

まあ、理由なんて考えるまでもなく、会社が社長のものだからなんだよな。
地方の中小企業、それも筆頭株主が社長なんだから、彼は王様だ。
俺様の会社、俺様の采配、俺様の業績。
となると社員は業績のための費用でしかない。
安ければ安いほど嬉しい、必要経費だ。
ちょっと経費を絞ったら文句も出たが、新しいコマも入ってくるから、問題じゃない。

社長はサトシ、俺たちはポケモン
毎日が業績というスコアを追いかけるゲームだ。
楽しくない訳がない。

社長の功績は、自分がいなくても、ポケモンたちが仕事を回すようにしたこと。
結果として、ゲームを続けられるかどうかが重要なのであって、仕事の内容とか、ポケモンの健康状態とか、あんまり気にしなくてもいいのだ。

労働者は現代の奴隷。
このステージにいる限り、俺たちはポケモンでしかない。

ポケモンセンターオリジナル Tea For Two Pokémon little tales

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菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力

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